46番目の密室 有栖川有栖 

 

有栖川 有栖 / 講談社(1995/03)
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45の密室トリックを発表した推理小説の大家、真壁聖一が殺された。密室と化した地下の書庫の暖炉に上半身を突っ込むという悲惨な姿であった。彼は自分の考えた46番目の密室トリックで殺されたのか?推理作家・有栖川有栖とその友人で犯罪学者・火村英生のコンビが怪事件の謎に迫る!

クリスマスに真壁聖一の北軽井沢の「星火荘」に招かれるアリスと火村。
そして推理作家高橋風子と石町慶太。
真壁の本を出版している出版者の編集者、杉井陽二と船沢辰彦、安永彩子の7人が招待される。
「星火荘」には真壁の妹真壁佐智子とその娘・真帆、同居人の桧垣光司が真壁と生活を共にしており、クリスマスパーティがおこなわれた後事件は発生する。
屋根裏部屋までの階段にキレイに巻かれた石灰の粉。
ガラス窓いっぱいに描かれた白いハート模様。
革靴いっぱいに注がれたワイン。
部屋に乱舞するトイレットペーパー。
キケン ジゲンバクダンと書かれたリボンをしたクマのぬいぐるみ。
盲人用の杖。

これらのいたずらを行ったのは一体誰なのか?
その目的は?
翌朝には暖炉に突っ込まれて黒焦げになった真壁聖一の死体が密室で発見される。
一体誰がどうやって彼を殺害したのか。

密室ものです。
それにしても有栖川氏は雪降る密室がお好きなようで子の作品以降も何度もこういう雪降る状況を描かれてます。
ラストの謎解きでの犯人の動機は、「うーん?」とちょっとしっくりこないところもありましたが、トリックは面白かったですね。
レッドへリングも随所に。
読者の推理を翻弄してくれます。
ただし、あっさりした本格ものです。
適度な翻弄具合ですから、本格苦手!って言う人でもついて来れますよ。

冒頭の火村助教授の雑談内容は「犯罪社会学」というか「文化人類学」に近い内容だなぁと思いますが、ロンブローゾが出てきてるあたりが「犯罪社会学」なんかな。
いや、文化を犯罪の視点から捉えているから「犯罪社会学」なのか・・・。
法律の世界で「社会学」というと万能薬みたいなものですからね。何でもありで何でもOKって感じです。
でも個人的にはとても興味のある講義内容です。
聞いてみたいなぁ・・・火村センセの講義。