まほろ市の殺人〜冬〜 有栖川有栖 

 

有栖川 有栖 / 祥伝社(2002/06)
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「真幌はどうかしている」冬になると、真幌の海に蜃気楼が現れる。満彦は五歳の頃、美しかった母に連れられて初めて兄弟たちとそれを見た。蜃気楼に手を振ったら幻の街に連れて行かれる。だから手を振ってはいけない、と母に言われた。直後、こっそり手を振った長兄が事故死し、二十五年後の今、三千万円という金が残された兄弟の運命を翻弄する!

架空の都市「真幌市」を舞台にした4人の作家の競作、第4弾です。
主人公もストーリーもまったく別物ですが、ちらりとつながりをうかがわせる文章があらわれたりします。

「火村シリーズ」とか「学生アリスシリーズ」のようなおちゃらけ要素がゼロのタイプの文章ですね。
「マジックミラー」とかあっち系かな。

何をするべきなのかは判っている。すぐに警察に出頭し、ありのままを語る。そして、しかるべき裁きを受けるのだ。そうするしかないと判ってはいるが、行動に移すことができない。想像しただけで恐ろしかった。警察に身柄を委ねた瞬間から、これまで当たり前にしてきたことができなくなる。ビールを片手にテレビを観る自由すら剥奪されてしまうのだ。休日に街をぶらつくことも、気晴らしにドライブをすることも許されなくなる。「私は人を殺しました」と告白した瞬間から。

人を殺した人間の逡巡が描かれてますね。
わかっててもそうはできないっていう気持ちはよくわかります。
まぁ若干このラストのオチのつけ方は気に食わないんですが(苦笑)
なぜ有栖川氏はこのネタすきなんでしょうねぇ

中篇なので大変読みやすく読み応えもあると思います。
同じ都市を舞台にしても4人の作家の特性が出ていて、面白い企画だったと思います。
ぜひ他のとあわせて読んでみてくださいね♪