白い兎が逃げる 有栖川有栖 


有栖川 有栖 / 光文社(2003/11/18)
Amazonランキング:8,685位
Amazonおすすめ度:


「君を好きになった。君も僕に興味を持って欲しい。それが無理なら、離れたところから君を見守っているだけでもいい」―。ストーカー行為に悩む劇団<ワープシアター>の看板女優・清水玲奈。彼女を変質者から引き離すプランは、成功したはずだった。ところがストーカーの死体が発見され、事件は思わぬ展開に!臨床犯罪学者・火村英生の論理的思考が冴え渡る、4編の傑作本格推理!

上の説明は表題作「白い兎が逃げる」です。
これは鉄道がらみの中編ですね。
読み応えあります。
あとの3作は短編です。

『不在の証明』
 双子の兄弟の弟が元恋人のマンションで殺されます。
 嫌疑は双子の兄にかかるのですが、その時刻兄には鉄壁のアリバイが・・・。

『地下室の処刑』
ジャニーズ系刑事森下刑事が事件に巻きこまれるお話です。
シャングリラ十字軍と言う過激ゲリラの幹部を見つけた森下刑事は背後から襲われアジトに連れこまれます。
そして彼の目の前で、組織を裏切った男が処刑されるのです。
銃殺しようと待ち構えている前で男の懇願によって出された最後のワインで毒殺を・・・・。
だれも毒を入れる機会もなく、銃殺されるのがわかっているのにわざわざ毒殺。
意味不明に見える殺人・・・果たしてその意味は?

『比類のない神々しいような瞬間』
オフィスの中で刺殺された女社長。
床には彼女が自分の血で書いたダイイングメッセージが。
その謎はなかなか解けない。
ホームレスの男・明石と夏目と名乗る男の怪しい行動。
そして・・・明石が殺されるが
彼の握った千円札が読者にも「比類の無い神々しいような瞬間」を訪れさせる!

個人的には『地下室の処刑』が好きです。
『比類のない神々しいような瞬間』はあなたもその『瞬間』を感じられると思います。
有栖川氏は長編もスバラシイですが、短編も見事に纏め上げる文才の持ち主ですから
外れなく読めると作家の一人だと思います。