十角館の殺人 綾辻行人 


綾辻 行人 / 講談社(1991/09)
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半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州の孤島に、大学ミステリ研究会の7人が訪れる。島に建つ奇妙な建物「十角館」で彼らを待ち受けていた、恐るべき連続殺人の罠。生き残るのは誰か?犯人は誰なのか?
鮮烈なトリックとどんでん返しで推理ファンを唸らせた新鋭のデビュー作品。

「十角館の殺人」は新本格なんですね。
時代の流れとしては本格(横溝正史とか)→社会派(松本清張とか)→新本格(綾辻行人とか) で、この「十角館の殺人」から新本格ムーブメントが起こったと言われているのでその筋では有名な本です。
私も面白いと思います。
みなさんアガサクリスティーの傑作「そして誰もいなくなった」をご存知でしょうか?
あれはかなり斬新な発想で読むべき作品なのですが、あらすじをいいますと
10人の老若男女が孤島にあつめられマザーグースの歌にあわせて一人ずつ殺されていきます。
この歌は10人のインディアンがそれぞれ海に行って行方不明になったりしてそして最後はだれもいなくなったという歌なんです。そしてその通りにみんな殺されて(石に頭をつぶされたり拳銃でうたれたりもういろいろ)島には誰もいなくなるのです。
犯人が10人の中にいるはずなのにみんな死んでしまうのですよ。
これは斬新でしょう?
そして犯人の告白文がはいったボトルレターが海岸に届くというラストでようやく犯人がわかる。
でこれを踏まえまして、「十角館の殺人」ですが、こちらは孤島に7人。
ただし大学の推理小説研究会のメンバーで孤島にいるメンバーはすべて登場人物の名前が推理小説家の名前になっています。
「オルツィ」とか「カー」とかいう名前で呼び合っています。
これと同時並行で本土のほうでの話も書かれていますがそちらは普通の名前で書かれてます。
だから本土のほうで謎がわかっても、島にいる10人のうちの誰がだれなのかは分からないんですね。
最終的に謎を解くのは、お寺の三男坊の島田と言う男です。最後に犯人がわかるんですけど、ここでもボトルレター出てきます。
ちょっと出てき方はクリスティーと異なりますが。

もちろん「十角館の殺人」だけでも面白いのですが、クリスティーの「そしてだれもいなくなった」を読んでから読むもしくは後で読むと2度楽しめます。

この館シリーズ。探偵役は同じですが、別にどこから読んでも違和感なく読めるようなつくりになってます。
基本的には読み切り型です。

なんか読みたいなと思っている人はどうぞ。