黒猫館の殺人 綾辻行人 

 

綾辻 行人 / 講談社(1996/06)
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6つ目の「館」への御招待──自分が何者なのかを調べてほしい。推理作家・鹿谷門実に会いたいと手紙を送ってきた老人はそう訴えた。手がかりとして渡された「手記」には彼が遭遇した奇怪な殺人事件が綴られていた。しかも事件が起きたその屋敷とはあの建築家中村青司の手になるものだった。惨劇に潜む真相は。

記憶喪失の老人の「手記」に基づいて過去を調べていく・・・探偵がその場にいないという点からいえば、安楽椅子探偵モノということになるでしょうか。
老人の「手記」には殺人事件の一部始終が書かれていて、フェアに書かれています。
事実は事実のままに。
確かにヒントはそこかしこにあります。
まぁ伏線だらけです(笑) 注意深く読んでいる人ならもしかしたら、鹿谷たちより先に真相にたどり着けるかもしれませんね。

最後の種明かしはなかなか面白い趣向だなぁと思いました。
似たような種はありますが、規模が大きいという点で一歩リードでしょう。
ポゥの「黒猫」をスパイスに、誰でも知っているあのお話を仕上げに使ってきれいにまとめられた作品です。
文章が閉鎖的な感じがしないので、ほかの館シリーズに比べ陰鬱な空気もなく読みやすいのではないかと思います。