人形館の殺人 綾辻行人 

 

綾辻 行人 / 講談社(1993/05)
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亡父が残した京都の邸「人形館」に飛龍想一が移り住んだその時から、驚倒のドラマが開始した!邸には父の遺産というべき妖しい人形たちが陣取り、近所では通り魔殺人が続発する。やがて想一自身にも姿なき殺人者がしのびよる!名探偵島田潔と謎の建築家中村青司との組み合わせが生む館シリーズ最大の戦慄。

手紙で始まり手紙で終わる殺人事件です。
人形がひしめきあうちょっと異常な家で起こる不可解な事件。
石を置かれたりポストに硝子の破片を入れられたりという些細な嫌がらせから徐々に命の危険を感じるように・・・
このへんのじわりじわりと得体の知れない恐怖を染み出させてくる感じは綾辻氏らしく少しずつ非日常へ誘われていきます。
文章は飛龍想一の視点をメインに描かれ、事態が混乱していく感じを味わえます。
想一の記憶にしまいこまれた記憶も徐々に明らかになり・・・一層追い詰められていく想一。
困り果てた想一のアドバイザーとして島田潔は登場します。
そのアドバイスにしたがって事件に挑む想一。

釈然としない気持ち悪さをまといつかせながら物語は進みます。
私は綾辻氏の「囁き」シリーズぽい空気だなぁと思いつつ読みました。
他の館シリーズと比べて異色な作品ですので、どちらかというと館シリーズを順に読んでいってたどり着くほうが楽しめる作品ではないかと思います。
探偵・島田の謎解きが終わっても油断できない館シリーズですから最後まで気を抜かずに(笑)
そういえば、作中に作家の「辻井雪人」という人物がでてきますが・・・綾辻氏から名前を拝借・・・したんでしょうねぇ(笑)