殺人方程式 綾辻行人 


綾辻 行人 / 講談社(2005/02/10)
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首が、ない!?―警視庁刑事・明日香井叶は絶句した。教団ビルで【お籠もり】の儀式中だった「御玉神照命会」教主・貴伝名剛三が、なぜか別の建物の屋上で死んでいたのだ。しかも、頭部と左腕を切断されて!なぜ犯人は死体を切断したのか?叶の双子の兄・響が怪事件の謎に挑む。

綾辻氏といえば「館シリーズ」や「囁きシリーズ」など本格ながらも不思議な気配というか因縁を漂わせた作品が多い方ですが、これは誰が何と言おうとガチガチの本格ものです。

明日香井叶(あすかいきょう)は警視庁一課の刑事。
好きになった女性が「刑事の妻になるのが夢」だったおかげで刑事にならざるをえなかった元天文学者志望の男性です。
そしてその双子の兄・明日香井響(あすかいきょう)は26歳の現在も某有名国立大の哲学科に籍をおく学生です。
性格も進路もまったく異なる二人ですが、探偵役は刑事の叶ではなく兄の響のほうです。
響が双子であることを利用して、刑事になりすましいろいろ情報を手に入れるというくだりはお茶目さを感じます。
綾辻氏独特のドロドロ感というか陰鬱な空気は一切なくカラッとしたテイストの作品ですし、この作品では実に大胆で面白いトリックが使われていますからかなり謎解きとして楽しめると思います。
死体の切断に対して合理的な理由が存在しますから怪奇性は薄いです。
現代的な推理小説ですね。
15年ほど前の作品ですが違和感なく読めると思います。