水車館の殺人 綾辻行人 


綾辻 行人 / 講談社(1992/03)
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古城を思わせる異形の建物「水車館」の主人は、過去の事故で顔面を傷つけ、常に仮面をかぶる。そして妻は幽閉同然の美少女。ここに胡散臭い客たちが集まった時点から、惨劇の幕が開く!密室から男が消失したことと、一年前の奇怪な殺人とは、どう関連するか?驚異の仕掛けをひそませた野心作。

水車館の主は藤沼紀一。
幻視者と言われた画家藤沼一成の一人息子。
事故で手足と顔に傷を負い、仮面で顔を隠して生活する。
一緒に水車館に隠棲する幼な妻の美少女。

一年前起こった家政婦墜落事件、及び正木慎吾殺害事件。

過去の事件に居合せた人物が揃い、そこへ招かれざる客島田が登場する時
再び惨劇が始まる。

過去の事件と現在の事件が交互に描かれ、同時進行し、読者を混乱させます。
過去の事件は犯人がわかっていたはずなのに・・・隠された真実が徐々に明らかに。
この過去と現在をミルフィーユ状態にするっていうのも面白い手法です。

ラストのラストはやはり綾辻氏だなぁと思わせます。
それまで、論理的なミステリを書き連ねていて最後に幻惑の世界へ読者を放りこんでしまう。

館シリーズは中村青司という建築家の建てた館を舞台に起こる殺人事件シリーズなので、土台から幻惑的ですが(笑)

探偵役島田潔の名前は・・・まぁおわかりでしょうが
島田荘司氏と島田氏の描く名探偵御手洗潔から取られています。
でも御手洗に比べても、かなりまっとうな探偵です。
ちょっと惚けた味のあるキャラですが・・・基本的にコメディ要素はありません。