時計館の殺人 綾辻行人 

 

綾辻 行人 / 講談社(1995/06)
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館を埋める百八個の時計コレクション。鎌倉の森の暗がりに建つその時計館で十年前一人の少女が死んだ。館に関わる人々に次々起こる自殺、事故、病死。死者の想いが籠る時計館を訪れた九人の男女に無差別殺人の恐怖が襲う。凄惨な光景ののちに明かされるめくるめく真相とは?

第45回日本推理作家協会賞を受賞した作品です。
「十角館の殺人」で登場した江南が雑誌編集者として登場します。
彼の担当するオカルト雑誌で「時計館」に出没する幽霊の謎を特集することになり、上司・カメラマン・霊能者・ミステリ研の学生たちと共に「時計館」へ。
「時計館」の中に3日間泊り込み、夜な夜なさまよいでる少女の幽霊の正体を暴く・・・はずだったが勃発する殺人事件。
しかも館からは出られない。
無差別で容赦のない殺意が九人に襲い掛かります。

江南ってクローズドサークルでの殺人事件に巻き込まれやすいのですね。
被害者たちには犯人も目的も不明な状況。
しかも仮面をつけた黒衣の殺人者は神出鬼没で、気がついたら現れて惨殺していくという恐怖。
実際自分がその場にいたら、失神ものですよ〜。
でも気を失ったら速攻殴り殺されちゃうんですよねぇ。
何で殺されるのかというのも解らず死んでいく被害者たち。
これは怖いですよね。
おばけやしき的なスリルを感じます。

話は「時計館」の中に閉じ込められ、連続殺人鬼の餌食になっている江南たちと「時計館」の外で古蛾氏の残した暗号に挑戦する島田たちの2つの視点で進みます。
館内では凄惨な殺戮が繰り広げられているのに対し、外では割合のほほんとした空気が流れているのが中での凄惨さをより際立たせています。
目と鼻の先にいるんだから誰か気づかないの?と思うとなお怖い。
少し分厚い本ですが、外と中が切り代わりつつ話は進むのでさほど苦も無く読めると思います。