陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎 

 

伊坂 幸太郎 / 祥伝社
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嘘を見抜く名人、天才スリ、演説の達人、精確な体内時計を持つ女。 この四人の天才たちは百発百中の銀行強盗だった・・・はずが、思わぬ誤算が。 せっかくの「売上」を、逃走中に、あろうことか同じく逃走中の現金輸送車襲撃犯に横取りされたのだ! 奪還に動くや、仲間の息子に不穏な影が迫り、そして死体も出現。 映画化で話題のハイテンポな都会派サスペンス!

銀行強盗が主役のお話です。
なんていうのか、ドロドロしたいやらしさみたいのは全然なくて、
アニメの「ルパンV世」みたいな爽快感のあるコミカルで美学のある感じのお話です。
コミカルさの方向は違うかもしれませんが男3人と女1人っていう構成が連想させます。
登場人物たちも飄々としていて、スマートに銀行強盗していく様が・・・「盗みの美学」なイメージです。

強盗犯は4人組ですが、その4人の視点が短編小説のように切り替わって、飽きさせずテンポ良くお話が進みます。
嘘を見抜く名人、成瀬は市役所の職員。
天才スリの久遠は旅行好きの若者。
演説の達人、響野は喫茶店のマスター。
精確な体内時計を持つ雪子はシングルマザー。
それぞれの視点が切り替わるときに、その内容を要約したような言葉が書かれてるのが面白いです。
「広辞苑」を伊坂氏がいじって遊んでいるのですが・・・


うち―あわせ【打ち合わせ】
@ぴったり合わせること。
A前もって相談すること。
B打楽器を合奏すること。
C会社員の労働時間の大部分を占める作業。参加者の数に比例して時間が長くなる。声の大きな人が主導権を握る。有意義なものは稀れ、最終的には開始前の状態に戻ることも多い。

というようなウィットに富んだ感じなので、見落とさずに読んでほしいですね。
そういうちょっとした仕掛けが全体的なコミカルさと爽快感に拍車をかけてるのでは?と思います。

ほんとに話のテンポは早くサラサラっと読めてしまうと思うので、通勤・通学時には最適な本だと思います。
ぜひ読んでみてください。