黒祠の島 小野不由美 

 

小野 不由美 / 祥伝社(2001/02)
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探偵事務所に所属する式部が失踪した仕事仲間である「葛木志保」を探すために訪れた島、夜叉島で殺人事件に遭遇します。必死に彼女を探す彼。そして発見される女性の惨殺死体。
惨殺された女性は「葛木志保」なのか?
何ゆえ彼女は惨殺されたのか?

少女向け文庫ホワイトハートで活躍されてます。
ホラーに定評のある作家さんです。
この話、推理小説でもありますがホラーでもあると思います。
たしか発売時の帯に「現代版『獄門島』」とかかかれてたような気がします。
住民の結束が強い島でおこる殺人劇。
島は権力者の支配下にあり、島民の誰もが何か知っているがそれを隠し、警察も役には立たない。
という特殊な状況下で事件は起こります。

これを読んだとき緻密に練られた伏線が素晴らしいと思いました。
式部の視点で話は進みますから、リアルにストーリーを体感することができます。
ホラーの要素も多く含んでいて、結構怖い話です。
実際どこかの島ではこういう不文律が存在するんじゃないかと思わせます。
殺人の部分も、生きたまま切り刻むというような残虐なものだったりします。
表現上はそこまで残虐には書かれていませんが何気ない一行が怖いです。
この残虐さも実は必然なんですが。

島でおまけに嵐までくるので、まさに孤島。
推理小説によくあるクローズドサークルです。
犯人は島民のだれか、なんです。
絶対外部ではありえない、というか島民以外の人間って主人公だけなんですけど。
この主人公わりと特殊な知識もってるなぁと思いました。どういう知識かは読んでください。
ここではいえない。
その土地に祭られてる神様に関係があるのですよ。
全ての謎は。
だからタイトルが「黒祠の島」
よく考えられてます。