精霊の守り人 上橋菜穂子 

 

上橋 菜穂子 / 新潮社(2007/03)
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老練な女用心棒バルサは、新ヨゴ皇国の二ノから皇子チャグムを託される。精霊の卵を宿した息子を疎み、父帝が差し向けてくる刺客や、異界の魔物から幼いチャグムを守るため、バルサは身体を張って戦い続ける。建国神話の秘密、先住民の伝承など文化人類学者らしい緻密な世界構築が評判を呼び、数多くの受賞歴を誇るロングセラーがついに文庫化。痛快で新しい冒険シリーズが今始まる。

この物語の主人公バルサは30歳。
女用心棒で短槍の名人。

児童文学ですが主役は年齢高めですね。
なんというか世慣れていてちゃんと自分のすべきことを知ってる大人の女性です。
少年マンガのヒーローのような底なしの強さを持ってるわけでも、不死身なわけでもありません。
怪我をしても痛みを感じないとかそういうこともありません。
チャグムを守っての戦いのシーンではかなり臨場感あふれています。

私がこの物語に引き込まれたのは、きれいごとばかりを書いてるわけではないところ。
バルサが二ノ妃にチャグムを託されるシーンでのバルサのセリフで
ぐっとバルサを身近に、物語をリアルに感じられました。

「そうでしょうか?わたしは身分の低い者。ここに呼ばれれば、こないわけにはまいりません。お妃さまがお話をされたければ、聞かないわけにはまいりません。そして、このお話を聞いたら、お妃さまの望みをかなえるために死ぬか、ことわってここで死ぬか、そのふたつの道しか私には残されておりません。どちらも確実に、わたしの無残な死を意味しています」

こども向けファンタジーでここまではっきり現実を捉えた発言をするってことがあまりないように感じられます。
冒険が始まる前はおざなりに描かれることも少なくないなか、バルサという人物を血の通った人物としてはっきりと描き出されてるように思います。

これから「守り人シリーズ」は随時文庫化されるとのこと。
児童書とあなどるなかれ!
分量もほどよく読みやすく基本的に一冊完結なので
みなさんもぜひぜひ読んでみてください。