闇の守り人 上橋菜穂子 

 

上橋 菜穂子 / 新潮社(2007/06)
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女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷へ戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは─。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。

舞台はバルサの生まれ故郷、カンバル王国。
6歳のとき追われて以降足を踏み入れたことの無い国。
もちろん読者である私たちにも未知の世界。
前作を読んだ人も新しい世界に惹き込まれることでしょう。

前作は精霊の守り人であるチャグムにもポイントが置かれていましたが
今回はバルサに集中したお話になっています。
ジグロの汚名を雪ぐためにバルサは東奔西走。
自分たち父娘を落としいれた陰謀が実はまだ巣くっていることに気づき、いやおうなしに巻き込まれていきます。
前作でバルサに親しみを持った読者なら、もうどっぷり浸れること間違いなし。

カンバル王国にはカンバル語があり、お金も時間も新ヨゴ皇国とは単位が違い
ものの名前も違うので、読者も「異国にきた」という気持ちになれます。
また、バルサがかっこいいんですよ、もう。
そしてそんなバルサの態度からいろんなことを学ぶ将来有望な少年が一人。
一応児童文学だから、その年頃の少年少女の成長も見所です。
これのテーマは「親子愛」でしょうか?
バルサにとっては用心棒をする相手が自分の子供のようであり
亡き養父ジグロとの思い出を通じて親の気持ちをわかっていく・・・
ジグロもまたかっこいいんですよね。
目立たないけれど、カグロ(ジグロの兄)もかっこいいです。
派手なパフォーマンスが無くてもかっこいいのは、筋を一本通す人だからですかね。
武士道!な感じの兄弟なんですが・・・ひとり違うのが・・・。
敵は身内にあり。
血のつながりの中にも、そして自分自身の中にも。
己の信じた道を貫くこと、自分に恥じずに生きることの大切さを感じました。

子供といわず大人にも読んで欲しい作品です。
文章はわかりやすく、読みやすいので気軽に読めます。
前作を読まずとも充分楽しめるように書かれていますが、私は前作も読まれることをオススメします♪