PLUTO(1〜4巻) 浦沢直樹×手塚治虫 

 

浦沢 直樹, 手塚 治虫, 手塚 真 / 小学館(2004/09/30)
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鉄腕アトム「地上最大のロボット」より。
鉄腕アトムの生まれた時代、地上では人間とロボットが共存していた。一見して人間と区別がつかないロボットも存在し、家庭を持っているものもいた。そんな世界で、モンブランと呼ばれるスイスの山案内ロボットが破壊された。彼は大人にも子供にも好かれる人気者で怨んでいる相手がいるとは思えなかった。それに非常に頑丈な作りで生半可な相手にやられるはずもなかったが、体をバラバラにされ、頭部の横には角に見たてた枝が突き刺されていた。そしてロボット法擁護団体の幹部ベルナルド・ランケも殺された。彼の遺体もモンブランと同じく角に見たてた装飾を施されていた。その謎を追うのは刑事ロボットのゲジヒト。一体誰が、何故、このようなことをしているのか?パズルのように断片的に現れてくる事実と、夢を見ないはずのロボットであるにもかかわらず意味深な夢を見るゲジヒトの過去、登場人物の思惑が交差する空想科学サスペンス。

元ネタは「鉄腕アトム」の中の話なんだそうですが、元ネタの話を私は知りません(苦笑)
でもそれでも十分楽しめます。
むしろまったく違う作品なんではないでしょうか?
アトムもあのアトムの絵とは異なっていますから、「鉄腕アトム」といわれてもピンと来ないくらいです。
謎が多いので、ミステリ好きはちょっと引き込まれますね。これは。
ロボットには感情がないはずなのですが、登場するロボットたちは伴侶の死(破壊)や戦争での悲惨な経験などを経て、少しずつ感情らしきものを認識していきます。
しかし、どんなに感情を認識しようとも人間に作られたロボットという事実はいかんともしがたく・・・そこにジレンマを抱えるロボットと人間の口に出してはっきりとはいえない苦悩みたいなものが見えます。
その自己存在の意義をみつめなおすという作業がなんか切ない感じさえうけました。

ストーリー構成はパズルのようで、新しいピースを見たくてしかたありません。
謎が謎を呼ぶサスペンスです。