ラグナロク洞 霧舎巧 

 

霧舎 巧 / 講談社(2000/11)
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<あかずの扉研究会>シリーズ第3弾です。
後動悟宛にきた「調査にきてほしい」という手紙を見た鳴海雄一郎と二本松翔はその村―影郎村へやってきた。しかし村にくるなり土砂崩れに襲われ洞窟に閉じ込められてしまう。
洞窟内には村の老人と女性が2人。
入り口をふさがれた五人は脱出するべくエレベーターに近寄るが・・・エレベーターのケーブルは焼ききれていて電話も使えず、中からは女子高生が瀕死の状態で発見され、さらに「犯人は誰?」の問いかけにカケルを指差してこときれる。
疑心暗鬼になる五人の中からまた犠牲者が!
一方鳴海とカケルを追ってきた、後動と由井広美も地上で連続殺人事件に巻き込まれていた。
地上と地下でおこる連続殺人。
そして密室。密室に残されたダイイングメッセージ。
果たして犯人は誰なのか?
地上と地下の殺人の関連は?

ミステリファンなら気になるポイントがいくつも盛り込まれてます。
閉ざされた空間ということで「嵐の山荘」ものです。
しかも地上との連絡手段も交通手段も断たれた状況での密室殺人。
まぁ二重の密室ですね。
さらにはダイイングメッセージ。
これのせいでさらにカケルは犯人として疑われます。

この作家さん有栖川氏や二階堂氏など好きらしく、あちこちにその話も出てきます。
ダイイングメッセージ談義なんてものを作中で探偵に語らせてるあたりは、生粋の本格ファンであることの証明でしょう。
<あかずの扉研究会>というサークルで活動してるとことか、ミステリ好きの集まりであるとか、といったところも有栖川氏の「学生アリス」シリーズと共通点がありますね。

あっさりテイストの本格推理です。
ちょっと旧体制の村での出来事ですから、「八つ墓村」のテイストも少し味わえます。
基本的にはライトではないですがあっさりしてるので、こてこて<本格の割には抵抗無く読めるのではないでしょうか?