ネヌウェンラーの密室 小森健太朗 

 

小森 健太朗 / 講談社(1999/11)
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エジプトは「王家の谷」へと向かった考古学研究室の一行を待ちうけていたのは、閉ざされた王墓の中での惨劇だった!4000年前の密室殺人と古代エジプト史上の王位継承の謎か解かれた瞬間、明らかにされる驚嘆の真相と、緊迫感あふれる脱出劇!

この作家さんはこの作品の中でいろんな試みをされています。
なので、他のいわゆる本格推理とは趣が異なります。
最初読み始めたときは、旅情歴史ロマンミステリになっていくのかと思ってたんですけどねぇ。
対立する教授同士がいて、ややこしい人間関係のもと密室殺人が行われるという・・・。

違いました(笑)

舞台は新しく発見された王墓で、一度入ると出られないという状態になるので巨大密室ですね。
王墓の中にも部屋がいくつかあって、被害者一人が足を踏み入れたはずなのに次の瞬間矢で射殺されたりするんですよ。
悲鳴を聞いて他の人が翔けつけた時には加害者の姿はなし。
2重密室ですね。

犯人は物語の半ばにはあっさり書かれています。
ちょっと拍子抜けするくらいあっさりと(笑)
なので途中から「誰が皆を殺したか?」よりも
「誰が王を殺したか?」という話がメインになっていきます。

個人的には・・・ミステリというより「インディ・ジョーンズ」系のアドベンチャーもののような気がするんですけどね(笑)
密室やし、連続殺人やし・・・要素は満たしているけどテイストが異なる気がします。
その辺もチャレンジした部分ということかもしれません。
分量、内容ともに軽いです。
脳裏に映像を思い浮かべられるほどにはポピュラーなネタですし
(エジプト王家の墓は映画の冒険ものなら出てきますから)
描写もちゃんとしてます。
ちょっと変わったミステリも読んでみたい方、どうぞ。