検屍官 P・コーンウェル 

 

パトリシア コーンウェル, Patricia D. Cornwell, 相原 真理子 / 講談社(1992/01)
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アメリカはリッチモンドの検死局長ケイ・スカーペッタが主人公の話です。
彼女は医者でもあり弁護士でもある、バリバリのキャリアウーマンです。
リッチモンドのある家で、医学生が殺されたことから事件は始まります。
しかも残虐で、人格を踏みにじる方法で。
第一発見者は彼女の夫。彼が言うには部屋に踏み込んだとき「メープルシロップのにおいがした」と。
もちろん現場にメープルシロップがこぼれているわけはないのだが、夫が嘘をついているとも思えない。
さらには正体不明のキラキラ光る粉。
それらの謎を解き、犯人を突きとめるためスカーペッタが活躍します。

話は、密室がどうとかいうような本格ものではありません。
警察の手の届かない指紋を調べることすらできないような陸の孤島とかそういう舞台でもありません。

主人公の職業柄、手がかりを探すための最新技術がたくさん出てきます。
事実に基づく最新技術なので、かなり感心しました。
確かにテレビなんかでもそういう技術が紹介されています。
日常に起こっている非人道的な殺人が活躍の場となることが多いシリーズです。
アメリカは日本の20年後の姿だといわれますが、こんな物騒な国にはなって欲しくないです。
とはいえ、すでに十分物騒ですが。

現場に残された少しの犯人の遺留品から犯人像を突きとめ追い詰めていく様はロジカルで理性的なスカーペッタの人格が現れています。

面白い話ですから、読んでみてください。

働いている女性がいかに社会からいわれのない差別を受けているかということもよくわかります。
スカーペッタのように非の打ち所のない女性であっても、足をすくおうとする男性はたくさんいて女性が進出してそうなアメリカでもこんなことあるんだな、と思うとわが国の現状を省みて悲しくなりましたね。
20年経ってもこうなのか、と。