九つの殺人メルヘン 鯨統一郎 

 

鯨 統一郎 / 光文社(2001/06)
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彼女がグラスの日本酒を呷ると、確実なはずのアリバイが崩れ出す。グリム童話の新解釈になぞらえて、解き明かされる事件の真相とは!?渋谷区にあるある日本酒バー<森へ抜ける道>を舞台に、店の常連の工藤と山内、マスターの”厄年トリオ”と、日本酒好きの女子大生・桜川東子が推理する九つの難事件。

アリバイトリックもので安楽椅子探偵ものです。
系統としてはオルツィの「隅の老人」系ですね。
ただ探偵役は女子大生・桜川ですが。
九つの短編集です。
それぞれタイトルはグリム童話のタイトルが・・・。
順に
ヘンゼルとグレーテル
赤ずきん
ブレーメンの音楽隊
シンデレラ
白雪姫
長靴をはいた猫
いばら姫
狼と七匹の子ヤギ
小人の靴屋
です。
それぞれをモチーフとした事件を刑事である工藤が話し、皆で意見をかわしながら、でも最後に桜川がずばり解決します。
日本酒バーという設定なので、毎回違うお酒を飲んでるので酒好きの方なら「ああ、あの酒ね」とわかるのかも。
私に判ったのは「越乃寒梅」だけでした(笑)
あと42歳の厄年トリオは昔話に花を咲かせているのでその年代の人ならなおさら楽しいかも。
残念ながら私にはわからず(苦笑)
あと有栖川氏の推薦もついてます。
作中で登場人物に『有栖川氏が「マジックミラー」でアリバイトリックの九つのパターンを分類してる』って言わせているのでその関係もあってかな?
で、その九つのパターンを実現したのがこの「九つの殺人メルヘン」なのだそうです。
ですからすべてアリバイ崩しです。
一話一話は短いので軽く読めます。
それに最後の話は驚きがありますので、それも楽しんでください。
なんていうか色んな遊び心を積めこんだ感じで、本格ミステリファンをにやりとさせてくれるとこもありお勧めです。
短編なのでとても読みやすいですしね。
文章もさらりとした感じで、時間もかからず読めてしまうのではないでしょうか?