四重奏 倉阪鬼一郎

 

倉阪 鬼一郎 / 講談社(2001/04)
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<堕天使、占星術、魔術。だまし絵、迷宮、愛死、弦楽>各部屋に悪魔的な意匠をちりばめた館で奏でられる殺人組曲。屋根裏部屋から世界は覗かれ、倫理のかけらもない探偵や殺人鬼が暗躍する。館を支配するくらい旋律が止む時、世界を揺るがす真相が明らかに。

「首のない鳥」はホラーだったので、受け付けなかったんだろうか?と思い、「ミステリは違うかも」と思って読みました。

結論。
やっぱこの作家さん私に合わない。
でも皆さんに時間があれば、読んでみてはいかがでしょうか。変わったトリック使ってます。

この話、読者に対してトリックがしかけられてます。
アンフェアではないけど判りづらい。
フェアかアンフェアっていうとこに重点がおかれてると言うよりもどこまでだましきるかっていうことに力を入れたのね。と思いました。



これから先はトリックについて触れますので、未読でこれから読もうと思ってる方は読まないで下さい。
ネタバレOKという方のみ、下のほうへ行って下さい。
















































これを普通に読んでいくと「彼」だの「私」だの主語がころころ変わって話が書かれ、誰のこと、いつのことを言っているのか判らない上に、それ以外にも人名で語る三人称の文などが出てきて混乱します。
え?だれ?と思いながら読んでいくと、確かに「世界を揺るがす真相が明らかに!」なります。

目次をみると「彼」「私」「彼女」「僕」「彼ら」という項目が何度も出てきます。やたら目次が別れてる。
これが人名だなんてだれが思いますか?
確かに「彼」は誰か男の人全般をさす三人称と思っている私達にとって「世界を揺るがす真相」ですよね。

「彼」は「かしこ」「私」は「ひそか」「彼女」は「かのん」「彼ら」は多分そのままの読み方。 そういう名前の姉妹。
そして「僕」は「しもべ」という名の末弟。

つまりそれまで、やたら主語が入れ替わってわかりづらいなぁと思ってた文章は、実は全て個人名で書かれた文章だったと言うわけです。
「聡子」とか「花子」とかいう普通の名前じゃなかっただけで、アンフェアじゃない。
ただ、最後に誰が誰を殺して隠蔽工作をしてという話になったとき、確認するのが非常に面倒(苦笑)
なじみのない名前なものだから、惑う、惑う。
しかも双子が二組で、死んだのはそれぞれの片割れ及び多数。最終的には生き残った双子の片割れ達も狂気の中自殺しちゃうんですけど。
なので、話を読むと結局どっちの片割れがどこで殺されたんでしたっけ?となる。
面白い発想だと思うんですけどね。
ちょっとこれがメインって言うのは、ミステリとしてはあまり出来がよくないというか。
もう少し書きこんで欲しいというか。
うーん、うーん。
ちょっと私には受け付けないかんじなのでした。残念。