首のない鳥 倉阪鬼一郎 

 

倉阪 鬼一郎 / 祥伝社(2000/12)
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同族経営で百年の歴史を誇る光鳥印刷。校正者を務める辻堂怜子は、社が請け負った極秘文書を担当することになった。厳戒態勢の下、窓のない部屋で仕事についた彼女は、上司からバッジを手渡される。絵柄は社のシンボル<首のない鳥>。裏はなぜか「13」という不吉な数字が刻印されていた。直後、元同僚が「狙われています、次は」と謎の言葉を残し失踪した。不安に戦く怜子。やがて。光鳥印刷にまつわる忌まわしい過去が浮上したとき、彼女の身に・・・・。

これから先はトリックについて触れますので、未読でこれから読もうと思ってる方は読まないで下さい。
ネタバレOKという方のみ、下のほうへ行って下さい。
















































前半は良かったんですよ。
話もテンポ良く進んで面白かった。
怜子が渡されたバッジは社の繁栄を約束してくれた邪神へのいけにえの証ということも、それまでの文章で想像のついていたことなので良かったんですがね。

ホラーって言うのはハッピーエンドにはしないほうが良いのかもしれないですけどこれはあまりに狂気に彩られてる感じで、途中で気持ち悪くなってしまいました。
綾辻氏の「殺人鬼」と同じ位気持ち悪かった。

推理小説って大抵の犯人の行動に理論的に理由がつけられていくじゃないですか。
それに結果が死によってもたらされたとしても事件は解決して、残された人達に対してのアフターケアがあるからそれによって読者も心休まる要素があると思うんです。
だから残虐でも読後に気持ち悪くならなくてすむのかなと思うんですが。
ホラーはその辺一切ほったらかしというか、読後気持ち悪い。

怜子の敵はもちろん、会社の人間たち。
信頼してた上司も同僚も実はその一員で、彼女はだまされ悲惨な運命をたどります。
結局怜子は生娘でなくなったので、いけにえは使われないのですが人体実験に使われるんですね。
生贄には他の女の子が使われ・・・ぐちゃぐちゃの惨殺体になってしまいます。
同僚が失踪した後怜子を助けてくれた男も首を切りおとされて殺されます。
失踪した元同僚二人はその時点ですでに捕らえられ、ドラックによって強制的に廃人同様にされセックスをさせられており、それをビデオにとって売られる。
怜子自身は薬物によって肉体の自由を奪われた挙句、会社の上司等、生贄の儀式に参加したメンバーによって輪姦されます。変態の上司もいて糞便をあびせらたり。

うう、書いてて気持ち悪い。
しまいには怜子は狂って、自分の体から子宮を引きずり出して果てます。
あああ、気持ち悪いよ。この話。
最終的にはその邪神は生娘でないものを3度捧げると怒っていなくなってしまうということで、多分怜子が自分の子宮を引きずり出したことにより3度目の間違いが起こったことになり、邪神は地球全部を壊して宇宙に帰っていくと言うラスト。

とっても気持ち悪い。
というか私が普段から個人の尊厳を蹂躙する出来事に関して並々ならぬ怒りを感じる価値観の持ち主なので、この話のあまりの非道っぷりに耐えられなかったんだろうと自己分析してるのですが。
しっかし、地球をぶっ壊せちゃうほどの能力持った邪神がなんで一企業の地下に百年もいたんでしょうかねぇ。
しかも約束が破られたときにその会社だけでなく、地球から生き物全てを消し去ったというから、それは迷惑というか。
関係ない人山ほど死んでるじゃないですか。
世界中の人に同時に同じように死が訪れるなら、陵辱されまくった怜子やその同僚たちの無念というか怒りは収まらないと思うんですが。だって非道の限りを尽くした上司たちは一瞬で死んじゃうんですから。不公平。

  ホラーって不公平だから理不尽で、まともに生きてる人間にも免罪符があたえられないってとこが怖いのかもしれないですけどね。
でも耐えられない〜。