ミス・マープルと13の謎 A・クリスティー 

 

アガサ・クリスティ, 高見沢 潤子 / 東京創元社(1960/05)
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セント・メリー・ミードで、平穏無事な生活を送っているミス・マープル。彼女の家に毎週火曜の夜、甥の作家、女流画家、元ロンドン警視庁の総監、教区の牧師、弁護士の六人が集まり、自分だけが結末を知っている事件の話を聞かせ、それぞれの推理を提出しようということになった。ところが、毎回真相を言い当てるのは、ミス・マープルであった。クリスティの面目躍如たる好短編集。

この作品はポアロと人気を二分するほどの名探偵ミス・マープルが登場します。
皆が知恵を振り絞っても解けない謎を編物をしながらいともたやすく解いてしまうのは、誰も予想していなかったミスマープルなのです。
ハヤカワミステリでは「火曜クラブ」というタイトルだったと思います。

事件を聞くとまっすぐに(まるで伝書鳩のように)答えを導き出すマープル。
彼女は村から滅多に出ないにも関わらず、素晴らしい洞察力で人間性を見抜きます。
解決に導くのは村で起こるささいな出来事。
それと重ね合わせて、事件の謎を解いていくのです。
謎を解くだけではなく、賢明なアドバイスもしてくれるミスマープル。
優しい物腰でいて、芯の通った老婦人の言葉は読者である私達にも自分の見方の狭さを教えてくれるのでありました。

私はマープルものの中ではこれがもっとも彼女の魅力を引き出してる作品ではないかと思います。
他にも多数、長編もありじっくりと犯人を追い詰めていくさまは痛快です。
長編でもっとも気に入っているのは「予告殺人」です。
ただ、長編よりも短編のほうが彼女の知性やひらめきがよく現れてるのではないでしょうか。
ということでマープルものをこれから読む方はこの本から入られることをお勧めします。