百器徒然袋―雨 京極夏彦 

 

京極 夏彦 / 講談社(1999/11)
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救いようのない八方塞がりの状況も、国際的な無理難題も、判断不能な怪現象も、全てを完全粉砕する男。ご存知、探偵・榎木津礼二郎!「下僕」の関口益田今川伊佐間を引き連れて、更には京極堂・中禅寺秋彦さえ引きずり出して、快刀乱麻の大暴れ!
不可能状況を打開する力技が炸裂する三本の中編。

これは、いうなれば 『榎木津シリーズ』とでも言うべきシリーズです。

登場人物は『京極堂シリーズ』とほぼ同じなのですが。
キャラのはじけ度合いがまったく違います。
『京極堂シリーズ』はシリアスですが・・・こちらはメインが榎木津なだけに・・・コメディっぽいです。
京極堂も悪乗りしまくってますし・・・。

お話はある青年が、かわいい姪を強姦した男たちを探し出してほしいという依頼をしにきたことに始まります。
『京極堂シリーズ』との絡みでいうと、ちょうど「塗仏の宴―宴の始末―」の後の話と言うことになりますね。
『京極堂シリーズ』を読んでいる方なら更に楽しい?(笑)
依頼人の青年は、榎木津にまったくちゃんと名前をおぼえてもらえないうえに、適当な名前で呼ばれつづけます。
ちなみに本名にかすりもしてません(笑)
それに京極堂も乗ってきて適当なことやってるし。
書き手はこの青年で、一話目で自分の依頼は解決したにも関わらず、ずるずると榎木津たちと関わりをもってしまう『潜在的下僕志願の青年』です。

でも榎木津が「勧善懲悪」ならぬ「勧榎木津懲悪」などというだけあって かなり爽快感のある、いかにもコメディなお話です。
しかもメンバーは『京極堂シリーズ』と変わらないのだから、なおおかしい。

『京極堂シリーズ』が暗くて長くてじめじめしてると感じている方、
ぜひ一読を!
面白いですよ。