絡新婦の理 京極夏彦 

 

京極 夏彦 / 講談社(2002/09)
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当然、僕の動きも読みこまれているのだろうな―2つの事件は京極堂をしてかく言わしめた。房総の富豪、織作家創設の女学校に拠る美貌の堕天使と、血塗られた鑿をふるう目潰し魔。連続殺人は八方に張り巡らせた蜘蛛の巣となって刑事・木場らを眩惑し、搦め捕る。中心に陣取るのは誰か?シリーズ第5弾。

「あなたが―蜘蛛だったのですね」

冒頭から、桜の舞散る中、京極堂が真犯人と対峙しているシーンから始まります。
しかしそれが誰かはわかりません。女であること以外は。

物語は連続目潰し魔の事件から起こる。
4件目の被害者も女性だった。
犯人は目潰し魔と目される平野と言う男なのか?
目撃された犯人は六尺を越える剃髪の男。
平野と一致しない。
しかも現場は密室。
男が部屋から帰るところは目撃されていない。

房総に建つキリスト系の全寮制の女学校。
織作の四女が姫として君臨する学校である。
この学校の女教師が平野の第三の被害者だったが、「黒い聖母」による呪いだと学内では噂されていた。
そして自殺する少女。

謎が張り巡らせられ、複雑に絡みあいます。
「狂骨の夢」に出てきた降旗も登場しますし、変態監察医の里村も登場します。
しっかりこの世界についていかないと、一体何がどうなっているのかわからなくなってしまうでしょう。
それくらい、複雑に絡みあっています。
そして長大な物語のあと、最後の京極堂のセリフは

「あなたが―蜘蛛だったのですね」

そう、これでこの話は冒頭のセリフと繋がりループとなるのです。
この一言によって全てが集約されます。

象徴的で印象的なシーンです。
女と墨染めの男(京極堂)と背景は桜色。
映像にしたらさぞかし美しいシーンに違いありません。
この美しいシーンのイメージを持ったまま、皆さんは物語の中に誘われます。
このシーンのもう一人の主役を知りたいがために、ページを繰ってしまうことでしょう。

私の手元にある「ジーニアス英和辞典」より分厚いです。
これはもう小説じゃなくて辞書です。
六センチ弱。
それはそれは読み応えあります(笑)
一日で・・・・読めるわけない!
重いし。
持ち運びに適さない文庫です。
文庫である意味があるのかね?(笑)