狂骨の夢 京極夏彦 

 

京極 夏彦 / 講談社(2000/09)
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夫を四度殺した女、朱美。極度の脅迫観念に脅える元精神科医、降旗。神を信じ得ぬ牧師、白丘。夢と現実の縺れに悩む3人の前に怪事件が続発する。海に漂う金色の髑髏、山中での集団自決。遊民・伊佐間、文士・関口、刑事・木場らも見守る中、京極堂は憑物を落とせるのか?著者会心のシリーズ第3弾。

これも厚さ4センチ(文庫版)

伊佐間が旅先で出会った女性は、朱美といった。
彼女は昔人を殺したことがあるという。
亡くなった夫は首なし死体で発見され、犯人とおぼしき女性を殺したのだと。

昔から見る夢がトラウマとなり、精神科医をやめ牧師のまねごとをする降旗
彼のところへ告白にきた女性、朱美は死人になったはずの夫が甦って帰ってきたという。
そして自身が髑髏になる夢を見るのだと。
また甦った夫を殺したにもかかわらず、何度も夫は甦り何度も彼女のもとへやってくるのだ。
そして彼女はそのたびに夫を殺すことを続けているのだと告白する。

逗子湾では「金色髑髏」が目撃され、その次は脱色された状態で目撃、次は肉片と髪が生えた状態で発見される。
徐々に甦る髑髏の怪異。
また山中では男女5組が集団自決したのが発見される。
女性は阿片を飲まされ、無理心中とも疑われた。
自決には菊花紋の刀が使われていた。
髑髏を探し求める神官。
首を切り落とす神主。

これらの謎が複雑に絡み合い、一つの結末へと進んでいきます。
前作よりも更に複雑です。
横の事件の繋がりも複雑ですが、事件の大本は過去から繋がっています。
この本を読み始めた時から、読者である私達にも狂骨は憑いてしまうのかもしれません。
最後は京極堂の憑物落としによって、すっきりするでしょう。

この作品も分厚い上に、何気にさらりと伏線が張られているので、一度読んだ後もう一度読み返すともっとすっきりできることと思います。