魍魎の匣 京極夏彦 

 

京極 夏彦 / 講談社(1999/09)
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箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物―箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ。妖怪シリーズ第2弾。

分厚い。
分厚すぎる文庫です(笑)
むしろ、この分厚さが京極堂シリーズの象徴ともいえるでしょう。
分厚いわけですから、長いです。
妖怪に見たてたストーリーなので『妖怪シリーズ』なんていわれてるのかもしれませんが、妖怪は・・・ストーリ―のスパイスですね。

事件は中学生の少女の線路転落事件から始まる。
もはや再起不能と思われるまでに損傷された身体。
その体はある研究所へと運び込まれた。
更に相模湖では女性の足が2本発見され、しかもバラバラの四肢は一人分ではないことが発覚する。
その取材に向かう途中、道に迷った鳥口関口敦子の3人は山奥で黒く大きな建物に出くわす。
御筥様という箱を神体とあがめる霊能者。
彼は悪さをなす魍魎をその箱のなかに閉じ込めるという。
事件の合間に挿入される、箱詰め少女の話。

少女を線路へ突き落としたのは誰なのか?
山奥の研究所で何が行なわれているのか?
無数に見つかる少女達の四肢。
少女達を殺したのは誰なのか?
箱に入れられ微笑む少女の話。
それは現実なのか?
御筥様の目的は?
魍魎の正体は?

謎のひしめきあいです。
これだけ分厚いのですから(文庫本にして4センチの厚さ)ストーリーも十分分厚く、色んな要素が絡み合っています。
しかし一つとして無駄はなく、どの事件も起こるべくして起こっているので、読んだあと矛盾は生じません。
全てが連動しています。
読後そのことに気付くでしょう。

分厚いですが、それだけに達成感は十分あります。