七人のおば パット・マガー 

 

大村 美根子, パット・マガー / 東京創元社(1986/08)
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結婚してイギリスに渡ったサリーの元にNYの友人から手紙が届きます。手紙には「おばさんがご主人を毒殺して自殺した」と書かれていました。しかしサリーには7人ものおばがいます。一体誰のことを言っているのか?身内に殺人者がいる事実とそれが誰かわからないことに眠ることの出来ないサリー。それを見かねた彼女の夫ピーターは、おばたちについて話してくれれば犯人と被害者の見当をつけてあげよう、と請合います。サリーはおばたちと過ごした7年間について語り出すのですが・・・。

回想ではまだ7人が穏健な間柄であったころから、現在の互いに血を血で洗う争いで、憎み合うと言う状態になるまで、を話します。おばさん達は憎み合っていますがそれぞれの夫が絡んでさらに混戦状態。
つまり友人が書いてきた殺人者に7人が7人ともなる可能性があります。
一体それは誰なのか?そして殺された夫とは誰のことなのか?
読んでいくとどのおばも怪しく見えてくる(苦笑)
もう、凄いです。
こんな確執のある家には住みたくないですね。
怖いです。

文章はとてもフェアで、注意深い人ならピーターと同じように真相に至ることができるはずです。
残念ながら私はわかりませんでしたが。

探偵役がその殺人現場に一度も足をはこばないという点で、見事な安楽椅子探偵ものとなっています。
犯人も被害者もわからないという設定も斬新ですが、回想でそれらの謎が解けていくというのも面白いです。

ぜひぜひ本格推理ファンに読んで欲しい1冊です。
損はさせませんよ!