煙か土か食い物 舞城王太郎 

 

舞城 王太郎 / 講談社(2001/03)
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アメリカ・サンディエゴのERで働く腕利き救命外科医・奈津川四郎
彼の元へ凶報が届く。
母が重体だと―。
慌てて日本に帰った彼が知ったのは、生れ故郷・福井で起きている「連続主婦殴打生き埋め事件」
そして彼の母はその被害者だった。

奈津川家は地元の名士。
は内閣の大臣。兄・一郎はその秘書、三郎はミステリ作家。

もう一人の兄・二郎は17歳の時、密室状態の蔵から失踪。
祖父は蔵で首吊り自殺。
その謎は今だ解けていない。

血と暴力に彩られた奈津川家。
天才的な頭脳を持ちながらも血に飢えた野獣のような凶暴性を隠さずに
復讐に燃える四郎
さらに起こる「主婦殴打生き埋め事件」
そして過去の謎も・・・。

第19回メフィスト賞受賞作だそうです。
私はこのタイトルをみて、ちょっと受けつけないかもな〜と敬遠していたのですが、意外と面白かったです。
読んでみるとタイトルも必然的なものだったし。
奈津川家の確執はものすごくて、まぁ過去の家族エピソードの回想シーンが全体の4分の3くらいかな?
暴力一家です。
それはもうめちゃくちゃの(苦笑)
同じ街には住みたくない(笑)
四郎の視点で文章は書かれているのですが・・・彼は凶暴にもかかわらず家族愛にあふれた視点なので意外と反発を感じずに読むことができました。
あと、会話とかも改行なしで書かれたりしてるので、 圧迫感とスピード感を感じます。
作品紹介のところに「圧倒的文圧で書ききった」と書かれているのですが、この表現が端的でよく現しているかなと思います。

どちらかというと男性に支持されそうな文体及び内容かな?
まぁ視点も28歳の男性なわけですし。
スピード感のある文章ですので、意外とさらりと読めてしまうかも。