痾 麻耶雄嵩 

 

麻耶 雄嵩 / 講談社(1999/01)
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大破局のショックで部分的記憶喪失に陥った如月烏有は、寺社に繰り返し放火して回復を企る。だが焼け跡には必ず他殺死体が発見され、「次は何処に火をつけるつもりかい?」との脅迫状が舞い込む。誰が烏有を翻弄しているのか?烏有に絡む銘探偵メルカトル鮎の真の狙いは?ミステリに遊戯する若き鬼才の精華!

「翼ある闇」「夏と冬の奏鳴曲」に続くメルカトル鮎シリーズ(?)です。
時系列としては、「夏と冬の奏鳴曲」「痾(本作)」そして「翼ある闇」という順序ですね。

設定としては京都に木更津悠也という名探偵とメルカトル鮎という銘探偵がおり、それぞれがニアミスを繰り返しつつ烏有と接触しています。
だからこれをメルカトル鮎シリーズと言って良いのかどうかよくわかりません(苦笑)

さて、前作「夏と冬の奏鳴曲」で孤島での連続殺人事件に遭遇した如月烏有はバナナの皮で滑ってこけるという古典的ギャグのような状況で頭を強打し、見事「夏と冬の奏鳴曲」の内容を忘れてしまいます。
桐璃との関係も含めて。
しかし日常生活を送るに支障はなく、以前と同じように雑誌社で働き始めます。
彼は取材の中で「リテラアート」という芸術活動を行う巫子神という人物とその弟子というわぴ子という人物に出会います。
わぴ子の存在が気になる烏有
記憶がないながらも日常生活を送っているはずの烏有は気付くと深夜の神社に立っている事に気付き、さらに自分の意思とは遊離した状態で放火をしてしまいます。
炎の中におぼろげに浮かぶ記憶の断片。
そして、彼が放火した現場からは他殺体が・・・。

殺人を行っているのは誰なのか?
烏有の放火を知っていて、脅迫状を送ってくる主は何者か?
烏有は自分も犯罪者でありながら、その相手を突きとめようと動き出します。

割と本格っぽいでしょうか?
前作の「あれ〜?どういうこと〜?」という不思議さにはまったく答えてもらってませんが(笑)前作のことを抜きにしてみれば、ロジカルかもしれません。
烏有が記憶喪失になっちゃったおかげで設定の不思議さに関する疑問は全て棚上げ。
解明される時が来るんでしょうかね?
何よりわけがわからないのは、メルカトル鮎
そして桐璃
この2人の存在自体がよく分からん存在です。
いや、キャラとしては良いんですが、設定としての存在が謎。
烏有の妄想の産物だったと言うほうがよほど説明がつくほどの不思議存在です。
どういう設定なんですか?と麻耶氏に聞きたい・・・。