名探偵 木更津悠也 麻耶雄嵩 

 

麻耶 雄嵩 / 光文社(2004/05/20)
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名探偵に失敗は赦されない。
京都某所の古めかしい洋館・戸梶邸で、資産家が刺殺された・・・。柵もあってしぶしぶ依頼を引き受けた名探偵・木更津悠也を待ち受けていたのは、一癖もふた癖もある関係者達の鉄壁のアリバイ。四角く切り取られた犯行現場のカーテンが意味するものは?一同を集めて事件の真相を看破しようとする木更津だが…(『白幽霊』)

京都の街に出没する白い幽霊に導かれるように事件は起こる。
本格推理の極北4編。名探偵・木更津悠也の活躍を、とくとご堪能あれ。

この作品は、木更津悠也のワトソン役である、香月実朝の視点で描かれています。
ホームズシリーズのワトソンのように、名探偵の活躍ぶりを本にして生計をたてています。
(まぁワトソンにとっては副業ですが・・・)
「翼ある闇」から数年経過した設定です。
4編ともちゃんと本格ものです。
変な不思議設定は・・・幽霊の存在を除けばありません。
本格ファンも安心して手に取れるミステリです。

しかし香月実朝・・・麻耶氏のデビュー作「翼ある闇」をごらんになった方なら、彼が一筋ではいかない男だということはご存知だと思います。
本作でもそのことは十分証明されています。
名探偵よりも早く真相に気付き、ヒントに気付かない名探偵をとぼけたふりして誘導するようなワトソン役はワトソンじゃなーい!(笑)
ワトソンも石岡もアリスも黎人もヘイスティングスもみーんな、気付かずにヒントを与えてるのよ!
意図的にヒントを与えるワトソン役なんて聞いたことないよ・・・。
彼はどうも名探偵が名探偵として振舞っている姿を見るのが好きな模様です。
もちろん木更津は期待に外れず見事な名探偵です。
しかし・・・こんなクワセモノの助手って一体・・・。