メルカトルと美袋のための殺人 麻耶雄嵩 

 

麻耶 雄嵩 / 講談社(1997/06)
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男の死顔になぜ化粧の跡が?計画的な殺人事件に自ら巻きこまれる才能とは!?奇妙奇天烈な不可能犯罪から雪の密室での「犯人当て」まで―空前絶後の推理能力で登場するや否や次々と真相を看破。「長編には向かない探偵」といいきる銘探偵・メルカトル鮎とワトソン役の美袋三条が『7つの奇蹟』を起こす!

『遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる』
美袋が招待された別荘で起こる殺人事件。
男が殺され、それを殺した女性が自殺した、と思われる事件だが美袋は「彼女は殺されたのだ」とメルカトルに助けを求める。
果たしてメルカトルの推理は?

『化粧した男の冒険』
メルカトル美袋が泊まっていた別荘で、男子学生が刺し殺された。
密室の中、化粧をほどこされて。
犯人は誰なのか?
容疑者は五人。
メルカトルは劇を見るために早く帰るには、警察が来るまでに推理し、犯人を見つけ出さなくてはならない。
メルカトルは演劇の時間に間に合うのか?

『小人間居為不善』
暇をもてあますメルカトルの元を訪れた、一人の老人。
彼は最近甥と姪に命を狙われているのだと言う。
最後にあかされる驚きの真相とは?


『水難』
『ノスタルジア』
『彷徨える美袋』
『シベリア急行西へ』
の七編の短編集です。

麻耶氏の生んだ銘探偵・メルカトル鮎
傲岸不遜で非常識、唯我独尊で冷血無比。
普通の探偵とは一味も二味もちがいます。
被害者のことも加害者のことも一切考慮せず、ただ自分のしたいようにする。
自分に有利だからと言うだけで、真相を藪の中に放り捨て。
自分が早く解放されたいがために、嘘だかほんとだかわからないような推理をぶちまけ。
犯罪を誘発し。
ワトソン役をも罠にはめる・・・。
性格極悪の探偵です。
難事件が起こってもこの人だけには頼りたくない。
それにワトソン役の美袋も結構冷血(苦笑)
この二人には会いたくないなぁ。
メルカトルの感じは・・・ちょっとだけオルツィの『隅の老人』に似ています。