木製の王子 麻耶雄嵩 

 

麻耶 雄嵩 / 講談社(2003/08)
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比叡山の山奥に隠遁する白樫家は、一点に収斂する家系図を持つ『閉じられた一族』。その奇矯な屋敷が雪で封印された夜、再び烏有は惨劇を見た。世界的な芸術家・宗尚の義理の娘、晃佳の首がピアノの鍵盤の上に置かれていたのだ。関係者全員に当てはまる精緻なアリバイ。冷酷で壮絶な論理だけが真相を照らす!

「夏と冬の奏鳴曲」「痾」に続く如月烏有を中心としたシリーズ第3弾(?)です。
相変わらず茫洋とした感じの烏有ですが、またしても殺人事件に巻き込まれます。
白樫宗尚の取材に訪れ、陸の孤島で起こる密室殺人。
しかも家人全員に精緻なアリバイが!
果たして晃佳を殺したのは誰なのか?
そしてその体を焼却炉へ運び、残らぬほど焼き尽くしたのは誰なのか?
白樫家にある「聖家族」の印。
それが刻まれた指輪を持つ記者・安城は一体どういう関わりを持つのか?
さらにおこる連続殺人・・・。

探偵役は木更津悠也
記述は三人称で、烏有木更津の助手(?)香月の視点で話が進みます。
事件自体は本格推理と言えるでしょう。
密室殺人にアリバイ崩しですもの。
ただ、「夏と冬の奏鳴曲」の事件の記憶を失った烏有の心の葛藤が終始絡んできますので、なんとなくぐちゃぐちゃした感じに仕上がっています(苦笑)
それに「夏と冬の奏鳴曲」以来つきまとう世界の不思議さには何も説明なく、続けて読んできた人には大分不条理感を与えるのではないでしょうか?
こんなエンドなの〜?って(笑)
麻耶氏はなんか『結婚』というものに思い入れがあるのか、作品にやたらそのフレーズが出てきます。
なんでしょう?この作品に至ってはマリッジブルーみたいな感じに仕上がってるしねぇ。