夏と冬の奏鳴曲 麻耶雄嵩 

 

麻耶 雄嵩 / 講談社(1998/08)
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歪んだ館が聳え、絶えず地が揺れ、20年前に死んだはずの女性の影が全てを支配する不思議な島「和音島」。真夏に雪が降り積もった朝、島の主の首無し死体が断崖に建つテラスに発見された。だが殺人者の足跡はない。……ラストで登場するメルカトル鮎の一言が齎す畏怖と感動。ミステリに新次元を拓く奇跡の書。

雑誌記者の如月烏有(うゆう)とその助手舞奈桐璃(とうり)は20年前無くなった「真宮和音」という女優を偲ぶ会の取材のため、和音島を訪れた。
集まった人間は、島の主を含め5人。
皆、20年前「真宮和音」に心酔しこの島で共同生活を営んでいた人物であった。
館に飾られた「真宮和音」の肖像画に、うりふたつの桐璃に驚愕する一同。
ぎこちない空気のながれる晩餐。
そして肖像画の目が切り裂かれ、当主はテラスで首なし死体で発見される。
真夏にもかかわらず、雪が降り、テラスへ続く道には犯人の足跡はない。
巨大な密室。
さらには使用人の失踪。
不通になった電話。
文字どおり孤島となった島でおこる連続殺人!
犯人は一体誰?そしてその目的は?

孤島というのはミステリではドキドキさせられる舞台ですね。
しかし・・・この物語、本格のようなそうでないような(苦笑)
『新次元を拓く』と書かれていますが、まさに『新次元』ですね。
本格の要素も残しつつ、混沌とした話になっています。
本来、本格というとロジカルで整然とした論理によって組み立てられるパズルですが、設定が混沌としているので相反するものの融合と言う感じですね。
不思議な魅力です。

一応この作品は、デビュー作「翼ある闇」とメルカトル鮎木更津悠也によってつながっています。
しかし、あまり関係ないといえるでしょう。
この2人が大活躍!ってことはありません。
というより、事件に出てきません(笑)
メインは如月烏有であり、舞奈桐璃です。

この話の基本設定の不思議さがとても気になります。