震える岩 宮部みゆき 

 

宮部 みゆき / 講談社(1997/09)
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ふつうの人間にはない不思議な力を持つ「姉妹屋」のお初。南町奉行の根岸肥前守に命じられた優男の古沢右京之介と、深川で騒ぎとなった「死人憑き」を調べはじめる。謎を追うお初たちの前に百年前に起きた赤穂浪士討ち入りが…。「捕物帳」にニュー・ヒロイン誕生!人気作家が送る時代ミステリーの傑作長編。

捕り物帳と超能力の異色組み合わせの作品です。
お初は岡引の六蔵の妹で一膳飯屋「姉妹屋」の看板娘。
いわゆる超能力者です。
宮部氏は超能力ものをたくさん書かれていますが(例:クロスファイア)これは捕り物帳とドッキングすることによってかつてない変わった物語となっています。
現代風にいいかえるなら、FBIの超能力捜査官みたいなものでしょうか?

お初の超能力によって与えられるヒントは万能ではないですから、そのヒントをもとに謎をとくことになります。
超能力にスポットがあたってる話ですから、本格推理ではないですけど、本格好きの人にも謎を解く過程での赤穂浪士に対する新解釈(なのかな?)は楽しめると思います。
超能力ゆえに不幸になるということはなく、お初は明るいし周りの人も彼女のことを優しく見守っています。
右京之助とのちょっとほんわかしたやりとりも初々しい感じで良いです。

さすがに宮部氏の文章は読みやすいですし、さらっと読めますから異色捕り物帳もいやみなくまとめられています。