我らが隣人の犯罪 宮部みゆき 

 

宮部 みゆき / 文藝春秋(1993/01)
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僕は三田村誠。中学一年。父と母そして妹の智子の四人家族だ。僕たちは念願のタウンハウスに引っ越したのだが、隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの鳴き声に終日悩まされることになった。僕と智子は、家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み、ミリーを「誘拐」したのだが・・・・・。

長編も短編も定評のある宮部氏の作品。
ようやく読みました(笑)
最近は本が多くてちょっと前(といっても10年単位で)にでた作品というのはなかなか手が回らないんですよね(苦笑)
宮部氏の作品は、面白いし、上手な話運びですけれども
なぜか読後は物悲しい気分になります。
設定がリアルだからかなぁ?

『我らが隣人の犯罪』
表題作。
ノリが「今夜は眠れない」シリーズと似ているかもしれませんね。
みんな裏で何してるかわからないってことですね。

『この子誰の子』
父親の愛人が両親不在の時に、押しかけてくる。
それも2歳の娘を連れて。
そして外は嵐。
少年は追い返すわけにもいかず、一晩その女性と語らうのだが・・・。

いやいや、そういう結末なのか!っていうか。
少年冷静だな〜。
でも妹が成長したとき・・・二人の関係に疑問を持ったりとか
そこから両親に少年が事実を知っていることがばれたりとかせえへんのかしら?
と余計なお世話で心配してしまいました(苦笑)

『サボテンの花』
小学生たちは「サボテンに超能力はあるか?」という自由研究をしようとする。
担任やPTAに反対された子供たちは、一生徒の自宅でひそかに研究を続けているのだが
奇行が目撃される。
いったい小学生たちは何をしているのか?

うーん。 ちょっと小学生にリアリティがない感じでしょうか?
短すぎたのかもしれませんね。
もう少し長くかけば、臨場感が増したのではないでしょうか。
でもこの話自体はほのぼのとしていいお話だと思います。
こういう教頭先生はいてほしいな。

『祝・殺人』
刑事・彦根を悩ます「バラバラ殺人事件」
妹の結婚式でエレクトーンを弾いていた女性が、その真相を突き止める。

安楽椅子探偵ですね。
ミスマープル系といってもいいかと。
エレクトーンの女性が、彦根刑事に対して真相をどんどん話していくという設定。
人間のエゴがうまく描かれているのではないでしょうか。
殺人の動機や経緯などはありがちですが、安楽椅子の設定が良かったと思います。

『気分は自殺志願』
推理作家に、「絶対に自殺とばれない自殺の方法を考えてほしい」と依頼する中年の男性。
彼は難病にかかっているのだという。
もちろんそんな依頼を受けるわけにはいかない推理作家が作った完全ハッピーエンドのシナリオとは?

やはりラストは幸せに終わるのが一番ですよ。
殺人はないし、ウィットに富んでいて、読みやすいですね。
しかし、これももう少し長いと良かったのになぁと思います。

この短編集、ほんとに短編で(笑)
ラストの分量が少ないから物足りなく感じるのかもしれないですね。
私は長編慣れしちゃってますし。
でもこれからミステリを読んでみようかと思っている人にはちょうどよい量の本です。

ミステリを読み始めてみませんか?