Φは壊れたね 森博嗣 

 

森 博嗣 / 講談社(2004/09/10)
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おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内にしかけられたビデオで録画されていた。タイトルは『Φは壊れたね』D2大学院生、西之園萌絵が学生たちと事件の謎を追究する。森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕!!

このシリーズは「Gシリーズ」というみたいです。
主に加部谷恵美というC大学2年生の女の子が話を動かす存在です。
つまり好奇心いっぱいの性格ってことですね(笑)
彼女は「S&Mシリーズ」の「幻惑の死と使途」の中で、西之園萌絵に出逢い(当時中学生)それから萌絵にあこがれているようです。
萌絵は今回は警察から情報を持ち込む役であり、お姉さん的存在になっています。
歳とともに落ちついたってことでしょうか?
それとも、メインキャラが萌絵に比して若くなったからかな?
あと、山吹早月海月及介がメインキャラです。
海月及介が探偵役ですね。
寡黙な男です。

基本的に森氏の作品の探偵役は寡黙な人物で、他人に頓着せず、自分のしたいようにするので周りが振りまわされるタイプで、しかも思いやりにあふれてない人物が多いようです。
こういう人物が周りにいると、かなり人間関係がギスギスしそうですよねぇ。
私は彼らとお近づきにはなりたくないです(苦笑)
自分が苦労するのが目に見える。
名探偵は迷惑なのがほとんどですが、話術の上手な人が多いので、結構周りにも好かれる人物が多いと思うのですが・・・森氏のは割と自己中な人物が多いです。
本の中だけなら面白いと思えますけれど。

この作品はかなりあっさりテイストです。
ミステリの要素は、密室ネタ一本ですし、それに絡んだこまごました話はありません。
森氏特有の哲学ポイやり取りもさほどないですしねぇ。
すぐに読めるでしょう。
私は1時間半でした(笑)

死体が宙吊りになっていたからなのか、文章が宙吊りのように地から離れています。
いろいろ凝った作品づくりをする森氏ですから、何か意味があるんでしょう。

「S&Mシリーズ」も「Vシリーズ」も、「四季シリーズ」も、知らなくても読めます。
もちろん読めば登場人物の繋がりを補強してくれますが、この作品に関しては必要を感じませんでした。
とても軽いので、ちょっと読んでみようかなと思われたならどうぞ。