冷たい密室と博士たち 森博嗣 

 

森 博嗣 / 講談社(1999/03)
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同僚の誘いで低温度実験室を訪ねた犀川助教授とお嬢様学生の西之園萌絵。だがその夜、衆人監視かつ密室状態の実験室の中で、男女二名の大学院生が死体となって発見された。被害者は、そして犯人は、どうやって中に入ったのか!?人気の師弟コンビが事件を推理し真相に迫るが・・・。究極の森ミステリィ第2弾。

基本的に犀川は謎がおきた時そこから逃げようとします。
とにかく係わり合いになりたくない。
それを無理やりひっぱっていく好奇心のかたまりの萌絵

やる気のない探偵役に、強引な助手という設定ですね。
でもこの助手も頭良いんだなぁ・・・。
典型的なワトソン役とは異なります。

森氏の作品は、登場人物達が一つ以上のフィルタを通して世界を見てる感じで、爆発するような感情表現からは一歩下がった人生観の持ち主が多いように思います。

登場人物たちの感情におけるリアリティを感じる部分の欠如といいますか、淡々とした感情の麻痺といいますか。
それもある意味リアルですよね・・・今の世の中では。

本作では、2人の大学院生が行方不明に。
シャッターが下り、鍵がかかり誰も入ることができなかったはずの実験室から2人の遺体は発見された。
犯人は見つからない。
外から開けることも中から開けることも不可能な実験室。

森氏はこういう不可能と思える密室の謎を作るのに長けています。
それも今までの推理小説とは異なるシチュエーションなのがいいですよね。
普通、低温度実験室なんて縁ないですから(笑)
それとコンピューターがよくトリックに使われます。
この辺が、最先端を思わせますよね。
今時代、どこもここもセキュリティはコンピューターまかせですから、そういった意味でリアルです。

淡々と進む、ミステリです。
森氏にとっては、処女作だそうです(デビュー作はこれの前「すべてがFになる」)