地獄の奇術師 二階堂黎人 

 

二階堂 黎人 / 講談社(1995/07)
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十字架屋敷と呼ばれる実業家の邸宅に、ミイラのような男が出没した。顔中に包帯を巻いた、異様な恰好である。自らを「地獄の奇術師」と名乗り、復讐のためにこの実業家一家を皆殺しにすると予告したのだ。「地獄の奇術師」の目的は何なのか?女子高生で名探偵、二階堂蘭子の推理が冴え渡る、本格探偵小説!

時は昭和42年。
二階堂黎人氏の描く名探偵二階堂蘭子が活躍する本格推理小説です。

全体的に過去の巨匠達へのオマージュがちりばめられた作品です。
記録者である二階堂黎人
探偵である二階堂蘭子(二人は血の繋がらない兄弟)
そして幼馴染の暮林英希
の3人の会話にはこれでもか!といろんな作品や作家の名前が出てきます。
知ってればそれだけおもしろいし、知らなければ「読もう!」という契機にはなるんじゃないでしょうか。

作品の雰囲気としては江戸川乱歩氏や横溝正史氏のおどろおどろしい感じに通じるものがあります。
基本的に蘭子シリーズはずっとこの空気が漂っています。
そういう意味では好き嫌いの別れる作品かと思います。
このシリーズはぜひ順番に読んでください。
そのほうが面白いハズです。
っていうかあとの作品で前の作品のネタバレ(ではないけどちかいもの)があったりするので。
私はバラバラに読んだので・・・ちょっと悔しい思いをしました。
これから読む人にはそんな思いはしてほしくないです。

トリックはちゃんと本格になってます。
それに怪奇っぽい味付けが加わっています。
ライトな文章を好まれる方は・・・ちょっと厳しい。
有栖川有栖の作家アリスシリーズよりは学生アリスシリーズを好む方向き。
綾辻氏の館シリーズを好む方も大丈夫でしょう。
島田荘司氏を読まれる方も大丈夫です。
全部あげてたら切りがないですが、基本的に本格好きの方は楽しく読めるでしょう。
しかし赤川次郎が大好きです!という人は止めておきましょう。
その方はもうちょっと本格関係の本を段階的に読んでからのほうがいいでしょう(笑)