軽井沢マジック 二階堂黎人 

 

二階堂 黎人 / 徳間書店(1997/11)
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水乃紗杜瑠、28歳、独身。
旅行会社勤務。
美男子。
ブランド品を身にまとい、高級車を乗りまわす。
しかしなぜか社内の女性陣には変人扱いされている・・・。
そんなサトルに恋心を抱く部下の新人OL美並由加理であったが、サトルと同行した出張の帰途、殺人事件に巻き込まれ軽井沢のペンションに一緒に宿泊することとなった。
妙高と軽井沢を結ぶナイフの謎・・・。
名探偵・水乃サトル初登場!

サトル由加理が妙高から帰る特急内で殺人事件が起こり、停車駅で発車寸前に飛び降りたため二人は警察に疑われます。
さらには、二人が社用で会ってきたばかりのホテルのオーナーであることが分かります。
また軽井沢でも殺人事件が・・・・。
連続する殺人事件、警察ににらまれるサトル
名探偵ならぬ探偵の様相を呈してくるサトルの行動。
ぐるぐる回りながら真相に少しづつ近づいていきます。

なんていうか変人変態探偵です。
御手洗の系譜です(笑)
黙ってればかっこいいのにね、って言うタイプの。
しかもアニメやら宇宙人やらのオタクです(笑)
二階堂氏の代表的な作品としては二階堂蘭子シリーズがありますが、あちらがオカルティズムでドロドロしてて本格〜って感じの重厚さがあるとすれば、これはライトなコージー派ミステリです。
コージー派と言うのは「庶民的で、普段は間が抜けている探偵が、物語の終わりではキラリと鋭い推理を披露する」(二階堂氏談)ミステリ>のことです。
サトルは万事がお調子者のノリですし、二階堂氏が遊び心を出されて娯楽要素が強くなってます。

ストーリーはちゃんとミステリしてますからご安心を。
基本的に二階堂氏の文章はくどい感じがするかもしれませんが『蘭子シリーズ』が小難しくて重い感じなら、『サトルシリーズ』はサトルのキャラの濃さや刑事達のキャラのあまりな典型的さからくるくどさです。
ちょっとコテコテって感じかな(笑)
そういうキャラ設定も遊びの一環だと思って読んで欲しいと思います。
本人が「蘭子が重いといわれたので軽いのを作りました」と後書きでかかれてます。
「軽いだけだと面白くないのでミステリ的趣向を凝らしてます」と。
つまり「あ、もしやあの作品のパロディ?」ってなことです。
3つわかると重度のミステリ患者だとかかれてますが・・・私は確信が持てるのは一つだけです。
死体が屋根にまたがって見つかるシーン。
(分かる人にはこれだけで分かりますよね?)
もしかしたらこの設定はアレかな?とかいろいろ思うのですが確信はもてないので軽度のミステリ病なのでしょう。
友人には「手遅れなほど重度だよ」といわれましたが(笑)
まぁ確かに「活字中毒」に関しては手遅れだと自覚しております(笑)

本格推理のフェアプレイ精神、緻密さを残しながらもコテコテな味付けの作品です。
水戸黄門的要素があったりとか(ちょっと内田氏の浅見光彦を連想させます、カーのパロディらしいですけどね)そういう遊びの多い作品ですから、軽い気持ちで読んで欲しい作品です。
ミステリ好きのおじさんがミステリ好きの同士のために茶目っ気たっぷりに書いた、そういう話です。
『蘭子シリーズ』は重たいなぁという方、こちらのシリーズも読んでみてはいかがでしょうか?
ちなみにこのサトルシリーズは学生時代と社会人時代の2つのシリーズがあります・・・んー?
何かと一緒ですねぇ(笑)この設定。