カスピアン王子のつのぶえ C・S・ルイス 

 

C.S.ルイス, 瀬田 貞二 / 岩波書店(2000/06)
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夏休みが終り寄宿舎へ帰る途中、ピータースーザンエドモンドルーシィの4人兄弟は魔法の力でナルニアへ呼び戻されます。数百年がすぎ、暴君のもとで荒廃しきったナルニアで、4人は殺されかけたカスピアン王子を助け、命がけの戦いを繰り広げます。

前作より数百年経過しているので、いろんなものが移り変わり、4人がいたころのナルニア国は伝説に変わってしまっています。
数百年まえはナルニア国には「人間」はいなくて、4兄弟だけが「人間」つまりアダムの息子とイブの娘だったものが、今はその「人間」がナルニア国を支配しています。
テルマール人によって征服されたナルニア国は、「人間」以外にはものをいわないけものしかおらず、ものをいうけものや小人やフォーンといったナルニアにいたものたちの存在を伝説とかおとぎ話としてしまっています。
自分達の都合の良い様に改ざんして、国民を意識操作しているテルマール人。
この辺の設定は、地球を我が物のように扱う私達、与えられた情報を唯々諾々と受け取る私達を連想させます。

前作では白い魔女についた裏切り者でうそつきだったエドモンドも、大活躍します。
あんなにやな奴だったのに、なんだか頼もしくなって、勇気もある男の子に成長。
人が変わることができるということですね。
良いほうに変われるといいですが。

ファンタジーで子供向けとはいえ、リアルな人間描写です。
むしろ文字数が少ないだけ、端的に切り取られてる感じで露骨に感じるかもしれません。
ただキレイなだけのお話ではないですね。
教訓も布に包んで柔らかく伝えると言うよりは・・・ダイレクトに伝えてるお話です。