魔術師のおい C・S・ルイス 

 

C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二 / 岩波書店(2000/11)
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別世界へと送りこまれたディゴリーポリーが、死滅した都チャーンで魔女をしばる呪文をやぶったため、2人のいくナルニア国に悪の種がもたらされてしまいます。―ナルニア国誕生のドラマを語ります。

ナルニア国物語6作目です。
時系列としては一番最初になりますが、ナルニア国物語は順番に読むほうがよいようです。
本作では、ナルニア国が誕生する瞬間が描かれています。
それに1作目「ライオンと魔女」に出てきた魔女がどうしてナルニアへやってきたのかということも分かりますし、ルーシィが洋服ダンスを通ってナルニアへ辿り着いてしまったわけもわかります。

今までの作品が、ふと気付くとナルニアにいて冒険が進んでいたのに対し、本作はナルニアへ辿り着く前に色んな世界を旅します。
アスランに出会う前の話が長いですから、要所要所でのアスランの援助なんかはありません。
出会ってませんし、なによりまだナルニアが出来てませんからね。
ですから、ディゴリーポリーだけで、ディゴリーのおじの作った指輪を使って異世界を旅することになるのです。
このおじは・・・そんな魔法の指輪を作れたのですから一応「魔術師」ですが、非常に卑怯な人物です。
こういう親戚はもちたくありませんね。

物語の最後に、アスランディゴリーポリーに語りかけるセリフは、今の私たちに対する立派な戒めだと思います。
一人一人が気をつけなくては、死滅した世界の都チャーンのような風景が広がるのかもしれない。
昨今、力を誇示し、平和的な解決が減ってきた国際情勢を見るにつけ、そう思われます。