さいごの戦い C・S・ルイス 

 

C.S. ルイス, C.S. Lewis, 瀬田 貞二 / 岩波書店(2000/11)
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大猿ヨコシマは愚かなロバにライオンの皮をかぶせてアスランを名乗らせ、それが見破られると、今度は、破滅の神タシをナルニアに呼び寄せてしまいます。ジルユースチスは、ナルニアを救うさいごの戦いへ。

ナルニア国物語、7冊目、最終巻です。
アスランの姿を見なくなって久しくなったナルニアでは、アスランへの信仰が揺らぎつつありました。そこへ付けこんだ大猿ヨコシマの悪辣なたくらみ。
しかし、猿知恵ですから結局はナルニア最後の王チリアン王ジルユースチスによって、見破られてしまいます。
ヨコシマはカロールメン国のタルカーンと手を組んでおり、さらにはヨコシマタルカーンとネコのハジカミにいいように扱われていることがわかります。
この3人がナルニアを我が物にしようとし、アスランを愚弄しさらにはカロールメン国の破滅の神タシと同一だということによって、ナルニアへ思いかけずタシをよびよせてしまうことになるのです。
多数押し寄せるカロールメン国の兵士たちにチリアン王たちは、多勢に無勢ながらも勇敢に立ち向かいます。

タイトルにふさわしく『さいごの戦い』ですね。
この巻は人ひとりひとりの『死』そしてナルニア国という世界の『死』といったように強く『死』を意識させます。
アスランの正体については前からわかっていますが(明言はさけられているものの、ルーシィに伝えている。cf:朝びらき丸 東の海へ)今回で明らかになりますね。
最後はみな救済されるのですから・・・登場人物的にはハッピーエンドでしょうか?
しかし違う側面から見るとかなり悲劇的な終りです。
アスランの最後のセリフに「え?マジで?そんな終りありか?」と突っ込んじゃいましたもん。
ルイス氏の意図するところはわかるのですが・・・このエンディングによってファンタジー色が一気に冷め、宗教及び哲学色が強くなったことは否めません。
まぁ子供に分かりやすく伝えるというのは成功してるかもしれないですけれど。

仏教での極楽浄土ってことですよね・・・ナルニアって・・・。
若干納得できない感じで終りました(笑)
ナルニアと関係のあるアーケン国の人々は救済されたと思うのですが・・・ナルニアと敵対関係のカロールメン国の人たちは滅び行くナルニアの世界と運命を共にしたのでしょうかね?
前作ではナルニアはこの世界の一部のような書かれ方をしていたのに、最後は皆道連れなんやろか?と思ってしまいました。
どうなんでしょうねぇ?