異邦の騎士 島田荘司 

 

島田 荘司 / 講談社(1991/12)
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失われた過去の記憶が浮かび上がるにつれ、男はその断片的『事実』に戦慄する。自分は本当に愛する妻子を殺した男なのか?そしていま若い女との幸せな生活に忍び寄る新たな魔手。記憶喪失の男を翻弄する怪事の背景は?蟻地獄にも似た罠から男は逃げられるか?希代の名探偵・御手洗潔の最初の事件。

うーん名作です。
さすが、島田氏。
いわゆる本格ミステリとは違うのですが(密室もアリバイトリックもでてこない)
でも!!面白い。
ハラハラドキドキで最後まで読めます。

主人公の男に完全に感情移入してしまいますねぇ。
なんて切ないの!
一生懸命なだけに悲しいお話ですね。
御手洗が20代のころの話です。

主人公の男の甘酸っぱい青春の味と言うか。
紆余曲折してる人生のドロドロっぷりというか。
最後まで飽きさせません。

二転三転する衝撃の事実が貴方を襲います。

これ20年くらい前(いや以上か)の作品なんですよ。
その後
全面加筆修正の「改訂完全版」もでています。
未読の方は「改訂完全版」のほうをどうぞ。
そのほうが文章がすっきりしていて読者に親切である、と作者の島田氏が言っておられますので。

ミステリファンの方はぜひどちらもお買い求めください。
ストーリ―は同じながらも10年の歳月によってどのくらい文章が洗練されているのかがわかります。

個人的には最初の文章のほうが好きです。
なんかドロドロした混沌さがにじみでてると思うんですよね。
その時代の『色』みたいなものが。