暗闇坂の人喰いの木 島田荘司 

 

島田 荘司 / 講談社
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さらし首の名所暗闇坂にそそり立つ樹齢二千年の大楠。
この巨木が次々に人間を呑み込んだ?
近寄る人間たちを狂気に駆り立てる大楠の謎とはなにか?
信じられぬ怪事件の数々に名探偵御手洗潔が挑戦する。
だが真相に迫る御手洗も恐怖にふるえるほど、事件は凄惨をきわめた。
本格の旗手が全力投球する傑作。

名探偵御手洗潔シリーズ6作目。
ここから島田氏の作品は分厚いのが普通になっていきます(笑)

事件は石岡さんが森さんというファンの女性に呼び出されることから始まります。
石岡君・・・なんていたいけなんだ!と言いたいくらいの純情ぶりですが
その森さんの話に出てきた男性、藤並卓という人物が、自宅の屋根の上にまたがって死んでいるのが見つかりその死に不審を抱いた御手洗は、押しかけ探偵になってしまいます。
御手洗・石岡ともに若い頃。
そして後に御手洗を好きになる女優松崎レオナが出会う作品です。

話の途中には、昔大楠が少女を食べた話が物語として断片的に挿入されています。
こういう手法も御手洗シリーズは多いですね。
藤並家にある大楠が人を喰らうという衝撃的な話なのですが、
ちょっとグロテスクな感じです。

「この大楠の老木は人を食べる木なんです」

この大楠を破壊するシーンは御手洗らしいシーンですねぇ。
変人御手洗!て感じで(笑)
石岡が必死で止めようとする中おかまいなくピッケルで大楠を破壊。
中からは・・・。
現れた死体を巡っての謎とスコットランドにある「巨人の家」の謎。
藤並卓の死の謎。さらにその弟と母親の死。
母が遺したダイイングメッセージの謎。
謎だらけです。
40年来の謎を解き明かそうと言うのだから・・・大掛かりにもなりますよね。

この作品は人間の残虐性は外見を見ただけではわからないということを思わされます。
薄い本ではありませんが、御手洗と石岡の掛け合いが楽しいので読みやすいのではないかと思います。
分厚さの割にはテンポよく読めると思います。
ぜひ読んでみてください。