御手洗潔のダンス 島田荘司 

 

島田 荘司 / 講談社(1993/07)
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人間は空を飛べるはずだ、と日頃主張していた幻想画家が、4階にあるアトリエから奇声と共に姿を消した。そして4日目、彼は地上20メートルの電線上で死体となっていた。しかも黒い背広姿、両腕を大きく拡げ、正に空飛ぶポーズで!画家に何が起きたのか?名探偵御手洗潔が奇想の中で躍動する快作集。

『山高帽のイカロス』
上記あらすじの物語。
魅惑的な内容です。
御手洗が謎解きをする場面やらでは、ちょっと石岡君とラブコメか?みたいなシーンもあるんですが(笑)
御手洗らしいミステリです。

『ある騎士の物語』
石岡が出席した結婚式のパーティ席上で聴いた15年前の不可思議な殺人事件。
秋元静香という女性と彼女を慕う4人の男性。
被害者は静香の恋人。
彼女はその恋人を激しく憎んでいた。
容疑は5人にかかったが、彼が殺されたとき、彼らはみな十数キロはなれたところにいた。
いったい誰が恋人をころしたのか。
「人の上に立つ者は、配下の功績を認めてやらなくてはなりません」
『異邦の騎士』もそうでしたが、騎士はひたむきで物悲しいです。

『舞踏病』
下宿している老人が、夜な夜な奇妙な顔で奇妙な踊りを踊り狂う。
その老人になぜ踊りだすのが問いただしても「体がいうことをきかず、勝手に踊りだすのだ」という。
もともと下宿屋でもなかった料理屋の二階に強引にその老人を下宿させてほしいといった息子。 奇妙な振る舞いは他にも・・・。

これは中編といってもいいくらいでしょうか。
一月50万もの大金を払って、父親を下宿させる息子。
狂ったように踊り続ける老人。
しらふで変人な御手洗。
振り回される石岡君と警察。

御手洗の口からでまかせもきわまれりな作品です(笑)

『近況報告』
1990年の御手洗の状況の石岡レポート。
御手洗の変人振りと石岡君とのラブラブ生活ぶりが伺える(笑)

どれもステキな作品です。
(近況報告はほんとに近況報告なんだけど)
個人的には『舞踏病』が好きですね。
事件背景が大正のころまでさかのぼったりするので、安楽椅子探偵ぶりが目立ちます♪
御手洗シリーズ未読の方にも読みやすい短編集です。