斜め屋敷の犯罪 島田荘司

 

島田 荘司 / 講談社(1992/07)
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北海道の最北端、宗谷岬の高台に斜めに傾いて建つ西洋館。「流氷館」と名づけられたこの奇妙な館で、主人の浜本幸三郎がクリスマス・パーティを開いた夜、奇怪な密室殺人が起きる。招かれた人々の狂乱する中で、またもや次の惨劇が…。恐怖の連続密室殺人の謎に挑戦する名探偵・御手洗潔。本格推理名作。

ハマー・ディーゼルの会長、浜本が招待した客は
下請のキクオカベアリング社の社長、菊岡
菊岡の秘書兼愛人、相倉クミ
キクオカの重役、金井
金井の妻。
末娘に、そのボーイフレンドたち。

「流氷館」は見取り図が載っていますが、非常に変わったつくりをしています。
階段が行き止まりだったり、同じ階でも地続きでなかったり。
この建物自体が奇怪です。

まぁこういうクローズドサークルに集められた登場人物は、お約束ですが
皆なにかしら、抱え込んでて、しかも腹のさぐりあいもあって、仲が悪い(笑)
表面上は仲良しにしてるんですけどねぇ。

吹雪の夜、寝ていたクミは窓の外に男の顔を見て、大絶叫。
彼女の部屋は3階で窓の外には何もないというのに、男が覗いていたと言う。
しかし皆が確認してもその姿はなかった。

その翌日、上田と言う人物が、密室の中登山ナイフで刺殺されて発見。
雪には足跡はなく、上田は奇妙な格好で絶命していた。

御手洗たちが登場するのは3分の2ほど進んでからです。
十分変人な登場のしかたです(笑)
やぱり御手洗は変人じゃなくちゃね。
むやみやたらとえらそうで、犯人はゴーレムだと言ってきかず
しまいには人形に服を着せ始める・・・。

こんなのが本当にやってきたら・・・困るだろうなぁ(笑)
御手洗が登場してからはコメディな感じで、話のテンポが速くなりますのでラストまで一気に読めます。

ラストは、ほんのりしんみりです。
御手洗のやさしさが染みます。

ちなみに、「流氷館」という名前の建物は、霧舎巧氏の「ドッペルゲンガー宮」の舞台にもなっています。まぁもちろん別の建物なんですが。
霧舎氏が島田氏をリスペクトされてるので、その辺はお遊びですね。
よろしければ、そちらも読んでみてはいかがでしょうか。