龍臥亭幻想(上・下) 島田荘司 

 

島田 荘司 / 光文社(2004/10/20)
Amazonランキング:38,961位
Amazonおすすめ度:


石岡和己犬坊里美、そして加納道子―。
雪に閉ざされた龍臥亭に、8年前のあの事件の関係者が再び集まった。
雪中から発見された行き倒れの死体と、衆人環視の神社から、神隠しのように消えた巫女の謎!
貝繁村に伝わる「森孝魔王」の伝説との不思議な符合は何を意味するのか!
幻想の龍臥亭事件が、今、その幕を開ける!

御手洗シリーズと言うか吉敷シリーズと言うか、でも主役は石岡さんなので御手洗シリーズかな?
私は御手洗シリーズが好きですけど、特に石岡さんの一人称で書かれてるのが好きなので、久々の石岡さん登場に思わず買ってしまいました(笑)
最近御手洗シリーズ御手洗御手洗だけで事件を解決しちゃってあんまりうれしくなかったのでちょっとうれしい。
なにより私に買う気を出させたのは<上>の「著者のことば」

8年ぶりの再訪。
龍臥亭は、更に奥深い謎を隠していました。
亭で出会った青年に昔の自分を見た石岡は、ついに長い低迷の闇を抜けて甦ります。ぼくは20年苦しんだ。眠れなくて、眠れなくて、辛い夜を幾晩泣いたかしれない。だからぼくも、今君をとめなくてはならない、君を犯罪者にするわけにはいかない。吹雪の中、心を通わせ合う孤独な男たち。異邦の騎士再び。

というこの文章を読んで、「買おう」と決めたのでした。

この作品では吉敷竹史も登場しますし、御手洗も電話だけですけど登場します。
8年もたって里美も司法試験に合格してるし(すごいよ、現実としては厳しいほどありえないけど)3つくらいだったユキちゃんももう中学生だし時間の経過を感じます。
でも何よりも石岡さん成長ストーリーですね。
なんてったって「異邦の騎士再び」ですからね!!
「ハリウッドサーティフィケイト」とか「ロシア幽霊軍艦事件」とかよりは過去の話はえげつなさではマシです。分量もそう多くはないですし。
いや、多いのか(笑)
でもそんなに多いようには感じない話の流れです。
島田氏にしては軽いほうの話だと思います。

これは「異邦の騎士」を読んでから読むのをオススメします。
他の作品は読んでなくてもせめて「異邦の騎士」は読んで欲しいです。
石岡さんの若かりし頃の苦悩を知ってから読むのと否とでは感じ方が大分異なると思います。
「龍臥亭事件」は「異邦の騎士」を読んでなくても大丈夫だけど、「龍臥亭幻想」は読んでからのほうが切なさがじわりときますから。

しかし貝繁村って過去にどれだけ凄惨な伝説があるねんってツッコミ(笑)
まだありそう(笑)
のろわれた地域やなぁ。
ちょっとクリスティの「スタイルズ荘」を思い起こさせます。
事件起こり過ぎってことで(笑)
「スタイルズ荘」は3回、事件の舞台になったんでしたっけね。