ＱＥＤ―式の密室― 高田崇史 
密室で、遺体となって見つかった「陰陽師の末裔」。
＜式神＞を信じる孫の弓削和哉は他殺説を唱えるが・・・。
果たして、祟の推理は事件を謎解くばかりか、時空を超えて「阿倍晴明伝説」の闇を照らし、＜式神＞の真を射貫き、さらには「鬼の起源」までをも炙り出す。
これぞ、紛うことなきＱＥＤ！
薬剤師・桑原祟（通称：タタル）が探偵役の「ＱＥＤシリーズ」第５弾の作品。
現在はこの後さらに２冊でてます。
この作品は講談社ノベルスの２０周年記念の特別企画として書き下ろされた作品の一つです。
どの作品も中身が袋とじになった「密室本」として売り出され、それにかけているのか話も密室の話です。
メインキャラは同じく薬剤師でタタルの後輩の棚旗奈々（一応彼女が語り部）
タタルの友人で奈々の先輩でもある小松崎良平の３人。
シリーズとしては中編であり、話もタタルと小松崎の大学１年の時の話なので番外編といえるかも知れません。
タタルは事件のたびにいろんなウンチクを教えてくれます。
これまでには「百人一首」についての新解釈や「東照宮」についての新解釈など、いろんな方面でその知識を披露してくれています。
私としては少し、彼の説明はもったいぶりすぎてて「もっと早よ話しなさいよ！」と思ってしまうのですが・・・（笑）
本のページではすぐですが本の中では説明と説明の間が数ヶ月開いてたりするんですよね（苦笑）
覚えてないよ、普通。
奈々ちゃんも良く覚えてるよなぁ、前の話。
シリーズ全体としてはトリックも発想も面白いと思います。
京極氏の「京極堂シリーズ」なんかは同じような系統ですが長大であるのに対し、このシリーズはコンパクトにまとまっていて読みやすいでしょう。
「あんまり長いのはねぇ・・・」という人でも読みやすいかと思います。
個人的にこれに意見を言うとすれば、もう少しキャラをかきこんで面白みを持たせてくれるといいのになぁということでしょうか。
ロジカルな面に重点を置きすぎてる感じもします。
名探偵と言うとどうしても独創的な人物を期待してしまうからかしら？
いや、タタルも十分独創的ですが、他の探偵たちに比べるとシリーズモノの主役のわりにはインパクトがないかな、と思うのですが・・・どうでしょうか？