十字架クロスワードの殺人 柄刀一 

 



富豪・比留間三兄弟の長男・長一が運転する車が崖に転落、祖父の遺産を詐取した塩原三絵の行方を追い同情していた天地龍之介と従兄弟の光章は山奥の小屋に避難した。救出を待つ中、長一の妻が殺害された。小屋の中に犯人が!?不気味な夜が続くが、一方、比留間邸では、次男の光陽が墜落死し、三男の秘書・三絵の他殺体が発見される。詐取事件を調査していた光章の恋人・一美も地下シェルターに閉じ込められ死の危機が迫っていた・・・。龍之介の頭脳はこのピンチをいかにして脱するのか?

IQ190の天然ボケ名探偵天地龍之介の活躍するシリーズの第4弾です。
今回の「クロスワードの殺人」はシリーズ初の長編です。
短編で軽いタッチの作風の中だけ出なく長編でも十分読ませてくれるシリーズだと証明してくれました。
凝った作りの作品で、各章のタイトルがすべてクロスワードです。
柄刀氏は「簡単なクロスワード」っていいますけど、ちょっとわからないのもあったりして(苦笑)私の知的レベルの問題?
もちろん回答は載ってますよ。本の最後に。
なんでクロスワードかというと、作中に出てくる地下シェルターを作った人物が無類のクロスワード好きで、シェルターのパスワードを導き出すのにクロスワードを解かなくちゃいけないんですよ。
そして物語自体がクロスワードのような感じです。
今回光章・龍之介と一美は離れ離れで、それぞれが殺人事件に巻き込まれるわけですが、向こうの出来事がこちらの謎を解くヒントになるという・・・縦の鍵と横の鍵のような位置関係にあります。
良く考えられてて面白いですし、本格の要素も余すことなく書かれています。
陸の孤島での殺人に犯人消失、密室殺人にアリバイトリックです。
本格ファンも満足できる1冊です♪
ちなみに・・・シリーズ自体に時間の流れがあって時系列で進んでいるので順番に読まれるほうが、なぜそこに行かなくちゃならなくなったのかがわかります。